2012年03月24日

赤いイワシが多すぎる

 『今をたよりに』。グレイス・アンド・フェイヴァー・シリーズ、待望の新刊。だったんだが、今回出だしがよかっただけに若干しおしおのぷー(古語)である。
 いつもながら雑多な問題を抱えつつ、遺産の条件である仕事探しに余念の無い主人公兄妹。(現代に至るまで)郵便制度のいーかげんなアメリカゆえの問題を発見し、それを職業として成り立たせようと奔走するうち事件が起きて…といつものパターンなのだが、このパターンを作者・チャーチル女史が打破しようと四苦八苦したものなのか、話が進むにつれどうにもグダグダした印象になっていくんだなこれが。
 ミスディレクションをばら撒くのはいいんだが、一番最初に疑わしく思える人物のところへ話が流れずイライラする。ちょうど『かまいたちの夜』をやってて、フラグが揃ってないと真犯人を指定できないあの感じ。そして後半で登場するあるキャラクターが、どうにもチート臭。デキスギ君にもほどがないか、キミ。でもってラストまでその勢いが削がれないもんだから、場外から乱入して1番でゴールを決められちゃいましたてへぺろ☆みたいな座りの悪さが読後に残ってなんともいえん。
 ぶっちゃけ、大恐慌から第二次世界大戦前夜のアメリカの田舎町の空気が感じ取れる以外は、ミステリとしてもキャラものとしてもいま一歩ではないかと。遠くに迫る暗雲を眺めてみたい向きかな。

posted by 司葉柾樹 at 00:00| Comment(0) | 読書
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