2009年06月18日

煩悩の数すらさかしまなれば

 『悪夢城の主』『萌えの死角』(いずれも今市子)を読む。『百鬼夜行抄』に代表されるファンタジー路線が大好きな作者ながら、もう一方の看板であるところのボーイズラブ路線はどうにも馴染めないものがあったのを、まさに双方一挙に手にしてしまったワケである。さっそく一読、前者にしみじみと異世界情緒を味わったところで後者に突入。薄い本でも中身は劇物がこのテのお約束、さてと覚悟を据えて読み始めたのだが。
 ええと、これは何つったらいいのかな。肩透かし?
 なんつーかその、イヤラシくないっつーか淡白っつーか。そうして思い返してみるに、この人のBL本もおしなべてそんな感じだったなあ。男同士でやってるんだが(何を)まるっきり男を感じさせないんだわ。妙にクリアに白々として、生身っぽくない。
 で、再度読み返して、その理由が見えた気がする。作者氏、なんというかその、価値観が素直というか、真っ当すぎます貴女。強そうとか立場が上とかってのをそのまんま関係に持ち込むなんて、まず無いっしょ。そもそも女性が男同士の関係を語るところで倒錯的なものがあるのに、その中身に何の捻りもないはずはないと思いますがいかがか。何回か書かれてる『ピルイーター』ネタなんざその最たるもの、要素が無いとは言えないのでは?無表情を心がけ動じない態度を通しつつ、迷い困惑するあの眼の演技は素人目にもヤバいと思うんだが。文系インテリ路線のくせに実はかなりイイ身体してそう(いや、役者さんのデータを当ると事実スゲェんだが)ってのもポイント高いっすよ!何のポイントか知らないけど!
 てなわけで、いっぺんWebに潜伏する創作系ファンのお姐さんたちをお訪ねになってはとか思ってしまった。え、いや、自分がこっそり覗きに行ったとかそういうことじゃなく!無いですからね!

 あと今まで気付かなかったのだが、作者氏は実は似顔絵が上手くないんだなぁ。顔立ちの複雑な難しい人はさておいて、『相棒』のメインたる水谷豊氏なんざぁ描き易い筈なんだがまるっきり似てねえ。神と崇める方に倣って、も少し絵の幅を広げられるとファンタジー路線の読者としても嬉しい、ぜひご研鑽願わしゅう。
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2009年05月23日

にゃあ女神さまっw

 大!がごろっこ付くほど好きな漫画家、波津 彬子氏の新刊『女神さまと私(小学館)』ゲット。世にもブチャイクな仔猫が実はバステト女神の顕現であるという設定のもと、十九世紀頃の英国を舞台に織り成される不思議風味の物語。彼女一流のほんわかハッピーエンド指向なドラマはある種ワンパターンという謗りは免れないかもしれないが、とにかくほどよくハラハラワクワクし、かつは和むのだ。今日びこれは貴重な作風ではあるまいか。
 ところでジェラルディン・マクダカート博士。貴方には他作品でおめもじしたような気がしないでもないんですが、気のせいでしょうか。え?陳腐な口説き文句?これはしたり、見破られましたか(笑)
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2009年03月22日

或いは壁の中のニャンコにすべきなりや。

 『エドガー賞全集[1990〜2007]』読了。発表時に雑誌などで読むことが多いので殆どが既読だったが、流石に読み応えのある名品揃い。とはいえ人の情理が踏み躙られるダークトーンの作品が半ば以上を占めているので結構しんどかったりもして。賞の名前の因って来るところを考えると当然なのか。パラスの上のカラスに問いたい。
 貧困と殺伐そのものの『密猟者たち』、暗い時代に人が容易く落ちる愚昧『ミッシング・イン・アクション』、救いの無い人間関係の袋小路『判事の相続人』、戦場という極限状況でなお生じる打算を悲しく裁く『英雄たち』。ことに中世ヨーロッパを舞台にした『ダンシング・ベア』は真っ直ぐな若者がそれゆえ陥った悲惨を描き、読むのが辛くなるほどの哀感を残す。
 そんな中の救いはまずローレンス・ブロックの『殺し屋ケラー』シリーズ。ビジネスをドライかつ淡々と状況に応じこなしてゆく筈が不測の事態に立ち至り、それでも見事切り抜けてゆくケラーのプロっぷりがたまらない。
 また『チャイナタウン』シリーズのS・J・ローザンによる短編は本書随一の和みネタ。とはいえコン・ゲームに立ち向かうリディアの度胸ったら、萌えつーよりは燃えですが。
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2009年03月02日

ビヤルニ・ヘルヨルフソンはまだですか。

 久々の書店詣で。『ヴィンランド・サガ 7』『PLUTO 07』『ヒストリエ 5』『秘密-TOP SECRET- 6』『宗像教授異考録 第十章』を抱えてわっほい…じゃない、ひゃっほいと帰宅。片端から読破。ああ面白ぇ。
 特に『ヴィンランド・サガ 7』。己の希求するものを見定めたクヌート王子、彼を押し立てるべく本領を発揮するアシェラッド。その過去の陰惨な物語と、それに先立つビョルンとの別れ。これがもう泣けるとしか言いようが無い。子供みたいな言い草なんだけど、酸鼻極まりない戦場で背中を預ける間柄でありながら…と思うと図体のでかい狂戦士の寂寥が胸に迫ってくるのだよ。でもって最後に至るまで、それを容れられないアシェラッドの道もまたよく解るし。
 対して主人公は相変わらず。今回ついに二つ名で呼ばれるようになったけど、既に己に対する意地で状況を見ないようにしてる感が否めない。どこでどうやって脱却するのか、そのために今の目的を果たせるのか、まだまだ先が見えないな。
posted by 司葉柾樹 at 22:21| Comment(0) | 読書

2009年01月07日

動機には一点の疑問も無く

 『容疑者Xの献身(東野圭吾/著、文藝春秋)』読了。話題のベストセラーには常にヒネクレて背を向けるタチなのだが、相方が面白いおもしろいと絶賛するので騙されてみることにした。
 騙されなかったぞおい(笑)
 ということで、以下ネタバレしつつ感想。
 見事なトリック。最後まで「これ変でね?」と首を捻りつつ、目の前にあるものに気付かなかった。久々に小気味よく脳髄背負い投げ、一本やられましたっす。
 しかも謎解き完了後、動機を論うことで切なく美しいエンディングを期待させといて、さくっと裏切り生々しく残酷に現実を突きつけての幕。誰ひとり、幸せにならない。何もかも、被害者さえも無駄になる、おそろしく殺伐で、これも実に予想外。ハッピーエンド至上主義者としては不満の筈なんだが、何故か納得させられるんだよな。
 おそらくこれは娘が最大の要因だろう。小学生なら騙し賺せる、高校生なら説得できるだろう、けれど中学生ってのがな〜。このキャラ配置は絶妙としか言いようが無い。
 しかしアレだね、石神がミスキャストじゃないかって気がする映画版だが、この幕切れにあの主題歌が流れたら号泣するね。うっかり劇場に行かないように注意せねば。
posted by 司葉柾樹 at 22:38| Comment(0) | 読書

2008年12月28日

農具を持ってハイ集合

 今年はしっかり休めそうだ!と喜んだのも束の間、休みに入った途端、家に溜まっていた雑事が雪崩を打って迫ってきやがった。毎年の事ながら、どうして事前に対処できんのかねぇ。いや、対処できるならそもそも溜めないわな。
 とはいえ毎日忙殺されてるのもどうかという事で、本日はご同様に忙しい休みを過ごされている柚さんにご来臨いただいた。ねこまと3人して、クリスマス&忘年会みたいなモンである。プレゼントに『モンスターハンターポータブル2ndG』を戴いたので、その場で開封してみっちりご指導いただいたりなんかして有意義にぐーたらする。休みかくの如くあるべし。

 『実録 死体農場(ビル・バス&ジョン・ジェファーソン/著、相原真理子/訳、小学館)』読了。
 コーンウェルの『死体農場』のモデル施設(というか、そのもの)の、生い立ちから様々な難事件珍事件トラブルの類までを創設者が語るもの。百年ちょっと間違った死亡時刻とか柔軟仕上げ剤の素敵な使い道なんていう愉快な話あり、無残極まりない殺しや近視眼的な反対派による施設閉鎖の危機ありと退屈知らず。また斯道において興味尽きせぬ一冊『死体が語る真実』のエミリー・クレイグ博士や、彼女の著作に登場する捜査官の名前も挙がってて、知る者にはちょっと嬉しかったり。
 もちろん死体に関するあれこれの知識もみちっと詰まっていて『C.S.I』ファンにことにも外せない一冊といえよう。確かシーズン1の初期にグリッソムが語ってた中国の法医学事始についても原典が挙げられてて懐かしかったぞ。
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2008年12月26日

誰が呼んだかオカルト探偵

 昨夜からの雪がどっかり降り積もり、本日の市内はあちこち麻痺状態に陥った。なにせ昨日の夕方まで雨模様で全て露出していた路面が、一夜明けたら脛の半ばまで来るような湿った雪に覆われてるのだ。しかも時折思い出したように吹雪く。午前中、所用で歩いた北のほうが晴れてたのに、地下鉄で一駅移動した札幌駅前は猛吹雪で、素で八甲田山ごっこが出来そうだった。
 当然ながら飛行機は飛ばない降りられない。JRは切替器の故障で止まる。送電系統に不具合が生じて地下鉄さえ一時停止した。いや〜、こんなんガメラとレギオンが来た時以来でないかい?

 とつ言いつ出社途上で書店へ。『サイモン・アークの事件簿〈1〉(エドワード・D・ホック/著、木村二郎/訳、東京創元社)』を見つけて小躍り。ホックのキャラクター中では古株中の古株、しかも作品数もそれなりにあるのに、何故か雑誌で散見するばかりだったサイモン・アークの第一短編集である。不可思議を解き明かす探偵その人が不可思議そのもので魅了された若き日を思い出すのう。僕がこれを見逃したらそれこそ謎ですよ、ええ。
 コミックのコーナーではこれまた待望の『大奥 第4巻(よしながふみ/著、白泉社)』が平積みになってるのを発見、これまた即ゲット&その後移動中の電車内で一気読み。男女逆転大奥が辿る歴史とその中で転変し消えてゆく人の運命に、史実と重ねて思い馳せつつ胸苦しい思いに迫られつつ。
 今回、家光から綱吉までを綴っているのだが、死せる愛人の唇に紅をほどこす男の手指とか、課せられた任の生臭さを知った上でひたすらに純で一途な少女の恋とか、文章では表現しにくいものをさらりと描く手腕はすげぇと改めて感じ入った。なんつーか、絵柄は昔に変わらずシンプルなのに情報量が増えてるんだよな。圧縮技術向上中ですか?
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2008年12月22日

冬支度には必要なんだい!

 昨日は冬至だったので柚子湯に入るべきところ、買いそびれたのでマンダリンの香りのバスソルトを支給してもらった。いうなればミヒョ……じゃなくてミカン湯であるな。いや、塩味つきだからミカンスープなのか。具材にちょっと脂身が多いとか思った奴はちょっと前に出るように。気前良く分けてやるぞ遠慮するな。

 さて今日はねこまと二人、買い物に出た。蛍光管などの大掃除アイテムを求める予定だったのだが、常に予定は決定で無く未定なのであった。ええ、買いましたよ、USB接続のビデオキャプチャユニットとかエッセンシャルオイルとかリボルテック・クロとか。毎度ながら統一感が無いのう。

 で買って来た『鋼の錬金術師 21(荒川弘/著、スクウェア・エニックス)』読了。いやいやいや、盛り上がってきたねえ!敵味方ともに陣容を整え、そっちこっちで前哨戦開始。でもってそこへ大ボスになりそうなプライドを投入してきたのは心にくい。後に控えるラスボスの初期状態のようなヤツがどれほど手こずらせてくれるかで、今後の難局も感じられようというものだ。
 また戦いの趨勢もさりながら、幕間劇の美味しさが実にもってなんとも。エドとウィンリィの再会シーンはテンポの良いスラップスティックだし、ホーエンハイム父ちゃんの男泣きに際して合成獣コンビの見せる優しさが泣けるったらない。そして随所に見られる政治・軍事面での腹の探り合いがこれまた味わい深いとくる。
 さらに細かい伏線の回収が半端無ぇ。まさかイシュヴァール戦の時のあの小隊やイシュヴァールの皆さんがここで再登場とは。上手い!上手すぎるよ荒川さん。どこまでみっちり仕込んでるんですか。これは完全な着陸シーンを期待していいんスね?ね?

 夜、クリスマスの前倒しのつもりで買って来た12cm径の小さなケーキを、ふたり向き合ってむしゃむしゃ食う。毎年のように普通にやってもつまらんので、今日は真ん中に置いたそれに両側からダイナミックにフォークを突き刺し、砂場遊びの棒倒しのように削ってみた。これは意外に楽しいぞ。一種、鍋をつつくのに似ているような。今度は友人大勢でデカいのにチャレンジしてみたいような。あ、闇ケーキってのもイケそうですね。どんなものかは想像もつきませんが、まあ結句脂身の増えることになりそうですな。よってもって冒頭へ戻る、と。
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2008年12月19日

ロシアのユニットは1/6で行動不能だぜ

 『ヘタリア』1&2巻を読む。
 うーん、イマイチ。というか、僕としちゃ面白いのだが世界史上の元ネタ知らない人に分かるようにきちんと描かれてないんで、完成度がイマイチかなと。シミュゲーで数値化までされてるイタリアのヘタレな史実だけでも、もう少し文章で補完すべきだったんじゃないか。オーストリア&ハンガリーのくだりとかも燃えと萌えのミクスチャーがたまらんのだが、1冊1k也の価値を誰もが見出せるかどうかは怪しいと思う。
 もっとも、このコミック自体の成り立ちが、Webで個人がアップしてた小ネタをまとめたものだというから仕方ない事かもしれない。もとより好き者(スキモノじゃなく「すきしゃ」と読むのだよ)が集まる所、分からない奴には「ググれカス」と言っとけばOKだものな。
 ゆえに論った不備は企画した編集者の責任ってことで、その罪過を問い、てきとーな壁の前に並ばせて満足できなかった読み手に本を投げさせるべきだと思う。ちょうどクリスマスシーズンだし、イエス様がやってきて「罪無き者のみ投げよ」と止めるまでの特別企画。当然、最後にはイエス様のみ投げ続けるのがギャグとしてのお約束ですよねジーザス。
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2008年12月03日

落日の帝国が残せしエロ言語

 11月27日に入院、翌日手術しリカバリルームでベッドに拘束、そして11/30の午後には病院脱出!と、なんだかばたばたしてる間に先月は終わってしまった。あはれ今年の秋も去ぬめり、って既に路面は凍ってるけどな!

 そんなこんなで、入院中に読んだ本。
 『ローマ人の物語 34 迷走する帝国(塩野七生/著、新潮文庫)』
 強大な敵の出現、蛮族の流入、疫病の流行、そんな中で数年毎に入れ替わり立ち代る皇帝たち、継続されない政策と崩壊する制度、望みを失くしローマ人としての自覚を喪ってゆく国民。
 まさに内憂外患を絵に描いたような状態で落日へと、向かうべくして向かってゆく国の姿は破船を見るような切なさがある。ことに、その舵を担った皇帝たちの多くが、ハリウッド映画みたいな贅沢三昧とは無縁の環境で、酷い時には何の責も無いのに陣中で部下の手にかかったりしているとあっては。
 しかし、ことに国民については昨今の日本のみならず世界全域にわたって発生している無気力系と似すぎてて気色悪いなあ。もちろん塩野氏の視点を介してる部分もあるのだろうが、後ろ向きになったり意味不明な行動に出たり宗教に縋ったりと、科学力だけは進んでいるけど中身は数千年を閲してなお同じかよと見えて脱力する。もっともこちとら汎神論の僕、きわめてプリミティヴに己の欲求と共に生きてるんだけど。

 ところで本書の最終章、ローマ帝国とキリスト教を語るに先立って塩野氏が紹介している言葉に、うっかり鼻血を吹いた。
 アカレッツァーレ(accarezzare)。愛撫する。
 かねてからの疑問を「持ち続ける」ことをイタリア語ではこう言うそうだ。日本なら「あたためる」とか「玩ぶ」というところを「愛撫する」。
 なんというエロ言語。
 口説き文句ならフランス語と聞こえは高いが、つまりこりゃアレだね、エロスは先方に任せこっちゃリビドー全開だぜってことかね。さすが世界最大の帝国跡地、エネルギッシュであることよ、のう。<何だこのテンション

 ちなみに期待に震えつつ持って行って夜中に震えながらプレイした『サイレントヒル ゼロ』は、2つ目の建物を出ようとするあたりで詰まって、最初からやり直すハメになった。
 いや〜、取説とTips読まないで始めるモンじゃないね!武器が損耗するとか投擲物の扱いとか、知らないで敵に特攻してたひにはクリアできませんよこれ(笑)
 入院中に打たれたヤクのせいか、だいぶ肩凝りが緩和されてるんで、この週末辺りに再挑戦するとしよう。ただやっぱり小さい画面は辛いんで、できればTVに映してやりたいな。最新型を買えと魂の底で誰か呼んでるような気がするな〜。ね、そうですよね物欲神様?<おおプリミティヴ!
posted by 司葉柾樹 at 00:00| Comment(0) | 読書